行列の標準型とは?

線形代数の1つの到達目標である行列の標準型について説明します。

行列の標準型

基底の変換と表現行列

ある線形写像 に対して、その表現行列 の基底を与えるごとに一意に決まります。そこで の基底を与える写像 を取ったときに、その基底によって表現行列はどう変わるかということを考えます。

写像 によって決まる の表現行列をそれぞれ とします。

このとき、 から への基底の変換行列を とすると以下のような可換図式になります。

よって以下の図式の青い矢印と、赤い矢印は同じ写像を表します。

すなわちこれは、 となることを表しています。

行列の相似と標準型

基底を取り替えることによって の表現行列は と変化することが分かりました。それは、逆に言うと正則行列 が存在して の形で書けるとき行列 は基底は違えども、同じ写像 を表しているということになります。 そういう意味でこの2つの行列は"同じである"と考えることができます。これを行列の相似といいます。

ここで、相似な行列を持ってくれば同じ写像を表現できるならば、出来るだけ計算がしやすく、写像の性質が分かりやすいものを使うと便利です。そのような便利な行列を標準型といいます。例えば対角行列なども行列の標準型の1つです。

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