行列の各部の名称
行列は様々な情報をもっているので行列のそれぞれの部分に名前がついています。
行と列
行列とは長方形状に数が並んだもの、すなわち
のようなもののことでした。
ここで行列を
のように数が横に並んだものの集まりとみたときその横に並んだものを"行"といいます。
同様にして
のように数が縦に並んだものを"列"といいます。
行と列の覚え方
どちらが行でどちらが列だったか分からなくなることがよくあるので、ここで行と列の覚え方を伝授しておきます。 どうして行と列が分からなくなるかというと、日本語は縦書きと横書きどちらも使えるからです。英語をはじめとする欧米の言語はほとんど横書きです。 横書きなら、文字が横に並んでいる方を行といいますよね。世界的に見ても縦書きの文化はなかなか少ないので横を行と言うのが自然です。あと、日本語でも数学は横書きに書きますよね。
行列は横書きの文書と考える
また行列は普通の横書きの文書と同じように左上から順番に と読んでいきます。さらに上から順番に1行目、2行目と数えます。このことからも行列を横書きの文書とみることが自然であるといえます。 ちなみに、縦の方も同様に左から順番に1列目、2列目と数えていきます。
行列の成分
行列において、並んでいるひとつひとつの数のことを行列の"成分"といいます。行列にはたくさんの成分がありますから、それぞれを呼びたいときには何行目の何列目と指定して呼びます。 例えば先ほどの行列では1行2列目の成分は2で、2行3列目の成分は6です。 行 列目の成分のことを普通 成分と呼びます。
また、数列の一般項を
と書くように、行列の
成分を
と書くことで行列の成分の一般項を表すこともあります。
行列の成分の一般項を用いれば
というように行列を表すことができます。
行列の型
行列の行と列の数がそれぞれ全部でいくつあるかということを行列の型といいます。
例えば、はじめの行列
は行の数が2行、列の数が3列なので
型の行列、または
行列などといいます。
また、行の数と列の数が同じときその行列を正方行列といいます。 そしてそのときの行の数(=列の数)が だったときその行列を 次正方行列といいます。
行列の集合
実数全体の集合を
、複素数全体の集合を
と書いたように
行列全体の集合を
と書きます。
とくに、成分が実数の場合は
複素数の場合は
と書きます。
また、
次正方行列全体の集合を
と書きます。
行列というのは数ベクトル空間の間の線形写像を表したものでした。 それを考えると行の数は値域の次元、列の数は定義域の次元を表していることが分かります。 すなわち、 は から への線形写像 全体を表していることになります。
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