連立方程式の解空間

線形代数における連立方程式についての考察

連立方程式の解空間

一次連立方程式の解は一般に一意に決まりません。式によって解を持たなかったり無数の解を持ったりします。 そこで連立方程式の解をすべて集めてきた集合を調べます。これが連立方程式の解空間と呼ばれるものです。解空間が分かればその連立方程式の答えが複数あってもそれがすべて分かったことになるのです。 連立方程式の解空間は全体の集合 の部分空間を平行移動したものになります。

を線形写像、 とするとき、n元一次連立方程式 の解空間は
を解の一つとしたとき、

となります。

ただし、

と定義されます。

方程式の一つの解を求める方法や、を求める方法は後に解説するとして、解空間がどういう構造になっているかイメージを掴むため一つ例を挙げます。 以下に示す例の解空間の元がちゃんと方程式の解になっていることを確かめてみてください。

例:3元1次連立方程式

の表現行列Aを



とすると、
の解の一つであり、 であるので
の解空間は

となります。

解空間の自由度

連立方程式において解が一意に定まる場合を考察することが多いと思いますが、実は解全体の集合が広がりを持った空間になっていることが上の例からも分かっていただけたと思います。 そこで、解空間がどれくらいの広がりを持っているかを表す指標が解空間の自由度と呼ばれるものです。

はベクトル空間( の部分空間)となっているので次元が定義できます。 の次元のことを解空間の自由度といいます。

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