連立方程式と線形代数
線形代数はもともと連立方程式の考察から始まったとのことでした。そういうわけで今回から何回かは線形代数における 連立方程式の考察を行います。たかが連立方程式と思うかもしれませんが、未知変数の数が増えると解の様子を調べることは意外と難しくなります。 きっとあなたは連立方程式のつくりだす解の構造に驚かれることでしょう。また、連立方程式について調べることは線形写像について知る第一歩ともなります。
連立方程式を線形写像として捉える
線形代数とは、線形写像を取り扱う学問のことでした。そこで、連立方程式を線形写像として取り扱う必要があります。
いま、二元連立一次方程式
を考えます。ここで左辺に注目すると左辺は
という写像と考えられます。この写像は定義域、値域を共に
とする線形写像となっています。
したがって、この連立方程式は線形写像
によって
へ行くような定義域の集合
を求める問題と捉えることができます。
連立方程式の解の空間
中学校で学習するようにこの連立方程式は解を持ったり持たなかったりします。また、解を持つ場合には唯一つだけ持つ場合と無数に保つ場合があります。 解を持つための条件は何なのでしょうか。中学校では、それは2つの直線が平行かどうかで判断します。
しかし、この方法では未知変数の個数が増えたときに高次元の図形を考えなければなりません。 例えば三元連立一次方程式では3次元空間内の平面の交わりを考えなければならず、 四元連立一次方程式ともなると4次元空間内の3次元超平面について考えなければなりません。 しかし線形代数を使えばこんな難しいことも簡単に計算できてしまうのです。
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