行列の標準型
基底の変換と表現行列
ある線形写像 に対して、その表現行列 は の基底を与えるごとに一意に決まります。そこで の基底を与える写像 と を取ったときに、その基底によって表現行列はどう変わるかということを考えます。
写像
によって決まる
の表現行列をそれぞれ
とします。
このとき、
から
への基底の変換行列を
とすると以下のような可換図式になります。
よって以下の図式の青い矢印と、赤い矢印は同じ写像を表します。
すなわちこれは、
となることを表しています。
行列の相似と標準型
基底を取り替えることによって の表現行列は と変化することが分かりました。それは、逆に言うと正則行列 が存在して の形で書けるとき行列 と は基底は違えども、同じ写像 を表しているということになります。 そういう意味でこの2つの行列は"同じである"と考えることができます。これを行列の相似といいます。
ここで、相似な行列を持ってくれば同じ写像を表現できるならば、出来るだけ計算がしやすく、写像の性質が分かりやすいものを使うと便利です。そのような便利な行列を標準型といいます。例えば対角行列なども行列の標準型の1つです。
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